社長挨拶
パール楽器製造(株)はドラム、パーカッション、フルートのメーカーです。1946年の創業以来75年以上にわたり、様々な音楽ニーズに応じたプレイヤーを奮い立たせる最高の楽器とは何かを追求し、製品の独自性、音のクオリティ、優れたデザイン性に拘る開発力と提案力を磨き続けてきました。パールの歩みは、時代が求めるサウンドやニーズを敏感に感じ取り、常に音楽シーンの先端を世界中のプレイヤーと共に走ってきた積み重ねであります。これまでパールの発展を支えて下さったお客様、お取引先様、アーティストをはじめ関係者の方々に心より感謝申し上げます。
現在、パールは日本、台湾、中国、米国に生産拠点を持ち、日本、米国、欧州の独自販売拠点に加え、世界中にセールス&サービスネットワークを築き、開発、製造、流通、販売に至る確立したグローバルサプライチェーンを有しています。更には、輸入正規代理店として、数多くの世界トップブランド楽器を取り揃え、日本のお客様に提供しています。
パールは「人々が音楽を楽しむ、豊かで活力のある社会づくりに貢献しよう」をミッションに掲げ、時代が求める最高の楽器を適正な価格で提供し、これからも「世界中で愛されるブランド」であり続け、音楽シーンをプレイヤーの皆様と共に牽引するため、一層の経営努力を続けてまいります。
世界は、前例のない激動の時代に直面しており、私たちの生活も大きな影響を受けています。しかし、これまでにない環境変化は新たなチャンス、発見をもたらすのではないでしょうか。パールの楽器は、それぞれの時代における一人ひとりのプレイヤーに思いを馳せつくられています。これからもプレイヤーの情熱、創造性をあますことなく表現させる楽器をお届け出来るよう、社員一丸となって取り組んでまいります。
代表取締役社長 飯石真之
パールについて(ヒストリー)
「価値創造・技術革新の歴史。」
パールは戦後の混乱が続くなか、1946年4月2日、東京墨田区で産声を上げました。創業者である柳沢勝己は、音楽への情熱と持って生まれたモノづくりの才能を生かし、「譜面台」の製造販売を手掛けたことがパールの始まりとなりました。しばらくし、取引先のお客様よりドラムづくりを依頼され、手作りでのドラムづくりを開始しました。この時の創意工夫が、パールドラムづくりの原点となって今日も生き続けています。1950年代にはいり、戦後復興と併せ音楽の普及が進むと共にドラム需要が高まり、パールはドラム製造を本格化していきました。1953年には、千葉県八千代市にてドラムセット、マーチング、コンサート、ティンパニなどの打楽器の生産体制を整え、現在のパール打楽器事業の基礎を築いたのです。1957年、二代目柳沢美津男が社長に就任し、拡大する需要に応え生産体制を強化すると共に、海外市場への輸出も開始しました。こうして、日本、米国、欧州をはじめとした世界中でパールの名が知られるようになりました。
~成長・拡大期~
1966年に本格的な日本製プロモデルの「プレジデントシリーズ」を発表し、フェノリックシェルが生み出すユニークな音に多くのドラマーが魅了されました。伝説のアートブレーキ―、JCハードなどもその中の一人です。更に拡大するドラム需要に応えるべく、1973年にはいち早く海外生産拠点を台湾(台中市)に立ち上げました。また、米国での販売強化のため、1979年米国ナッシュビルにパールUSAを立ち上げ、同年、当時の音楽シーンの中心であった英国にも販売拠点を設立しました。製品では「ウッドファイバーシリーズ」「クリスタルビート」「ジャイアントステップ」などの人気モデルを生み出し、米国、日本のドラムシーン最前線で活躍するドラマーたちと契約し、パールは業界のイノベーターとしての地位を確立しました。
また、打楽器だけではなく、1968年には、国産ハンドメイドフルートを製作する工房を立ち上げました。工房を立ち上げた職人達が、古典的なフルートにより優れたメカニズムを採用できないだろうか、と研究に励んだ結果生み出されたのが「一本心金」「ピンレスメカニズム」という画期的な技術です。優れた職人技術に裏打ちされた確かなメカニズムと、柔らかく雑味のないクリアな音質で世界中の一流プレイヤーにも愛されるフルートブランドとしての地位を確立しました。今では、日本工場にて高級ハンドメイドフルートを造り、台湾工場ではステューデントモデルからピッコロ、アルト、バス、コントラバスフルートなど多様なフルートを製造し、世界中へ供給しています。
1980年代に入り、オールバーチドラムの「ブルースフレーバー」を発表。TOTOのジェフポーカロ、フィルコリンズなどが同モデルを愛用し、パールにとってあらたな時代に突入しました。ジェフポーカロとの共同開発により生まれたドラムラック(DR1)は、パールハードウェアの新時代を築くきっかけとなりました。スネアでは、パールの代表的なモデルの一つである「フリーフローティングスネアドラム」もこの時期に生まれました。その後、ドラムセットでは「MX」「MLX」「GLXプロ」などのメイプルシェルドラムを発表し、数多くのロックドラマーに愛用されました。新技術へも挑戦し、電子ドラム「DRUM X」、「シンカッションX」を展開したのもこの時代になります。1980年代半ばに発表した「MLXメイプル」、「BLXバーチ」は、多くのハードロックドラマーに支持され、パールをロックアリーナの大舞台へと押し上げたのです。
1980年代は、米国でマーチング、コンサート打楽器のシェアを大きく伸ばした時期でもありました。この時期に開発された「チャンピオンシップ」マーチングドラムは、今でも業界を代表するモデルとして多くのプレイヤーに愛用されています。
1990年には、ラテン打楽器の「パールパーカッション」ブランドを立ち上げ、コンガ、ボンゴ、ティンバレス、ベル等打楽器を取り揃え、総合打楽器メーカーとして新たな分野をより深く開拓することになりました。1996年、パールは50周年を迎え、音楽シーン、ドラム業界での確固たる地位を確立しました。同年ドラムセットベストセラーの「エクスポート」が100万個のドラム生産を記録。同モデルは現在も通常ラインアップとして販売されており生産記録を更新中です。1999年、パール究極の最高級カスタムドラム、「マスターワークス」が発表されました。ドラマーが求める究極の個性を表現するために、パールが選び抜いた最上級の素材の中からシェル構成、フィニッシュ、ハードウェアを選択するシステムは多くのドラマーの夢を具現化するもので、創業者勝己が創業時に夢にみていた究極のアコースティックドラムづくりがここに実現したのです。
2002年、オランダフェンロにパール欧州販売拠点を立ち上げ、欧州全域をカバーするセールス&サービスネットワークの構築を進めました。これを機に欧州での販売体制を強化し、ドラム、フルートともに販売を拡大していきました。
~新時代のパール~
2004年、新社長に柳沢雅勝が就任し、新時代のパールを築くべく新製品開発にも力を入れました。究極のハイブリッドシェルドラム「リファレンスシリーズ」、ペダルでは「ディーモンドライブ」、ハードウェアの「アドバンスハードウェア」など、新時代のイノベーションを満載した製品を投入しました。2004年には中国に生産拠点を設立し、量産体制をさらに強化しました。電子ドラムにも力を入れ、2010年には海外市場で「e-Pro Live」を発表し、リアルルック電子ドラムを世界に先駆けて展開しました。2018年には株式会社コルグとの協業により、最先端技術を搭載した電子ドラム「e/MERGE」を発表。米国Keith Mcmillen社やSteven Slate社らと共同開発した、電子マレットコントローラ「マレットステーション」や、「ミミックプロ」ドラムモジュールなども発表し、変化する音楽シーンの中で現在大きな注目を集めています。これからも、築き上げてきた製品技術にさらに磨きをかけながら新たな挑戦を続け、楽器づくりを通じて豊かで元気な世の中をつくっていきたいと願っています。